薄毛になるのはなぜ?薄毛の原因と対処法について解説
2020/1/17
髪の1本1本が細くなったように感じている方はいませんか?「髪の毛を上手にセッティングできない」「枕につく抜け毛が増えてきた」「頭皮が見え始めた」などの問題を抱えているなら、それはあなたの髪の毛が薄くなったサインかもしれません。
ここでは、髪が薄くなり始めたと感じたときに知っておきたい、薄毛の原因や対処法、髪の毛の仕組みなどについて解説しています。ヘアサイクルなどについての正確な知識をもち、より適切な方法を選択できるなら、薄毛の進行を阻止し、はげてしまうのを予防できるはずです。あなたの大切な髪の毛を守るためにも、ぜひご一読ください。
なぜ、髪は薄くなるのか
髪の毛が徐々に薄くなっているような気がするけれど、その原因も思い当たらない......そんな方は、薄毛の種類や原因について確認しておきましょう。髪の毛が薄くなっていく症状にはいくつかあり、原因もさまざま。薄毛の種類がわかれば、その原因も見えてきます。まずは、自分の髪が薄くなる症状の種類と原因を知ることが薄毛対策の第一歩です。
・AGA
男性で、髪の生え際や頭頂部が薄くなってきた場合は、AGA(Androgenetic Alopecia)を疑うべきかもしれません。AGAとは男性型脱毛症の意味で、日本でも約1,260万人ものAGA症状に悩んでいるとされています。AGAが男性型脱毛症といわれるのは、男性ホルモン(DHT)の影響によるものと考えられているからです。
クリニックで治療を受けたり、育毛剤などを用いたりしない限り、自然に回復する見込みはない進行形の脱毛症です。放置していると、髪の毛が全体的に薄くなってしまいますので早期の対策が必要になります。
・びまん性脱毛症
一方、40代後半から更年期の女性によく見られるのが、びまん性脱毛症。これは髪全体が徐々に薄くなる脱毛症全般を指す言葉です。なかでも、特にFAGA(Female Androgenetic Alopecia:女性男性型脱毛症)に悩む女性は多く、日本で約300~600万もの発症例があるとされています。太い毛から抜け始めるのはAGAと変わりませんが、髪の生え際や頭頂部などがすっかりはげてしまうということはなく、全体的に髪がまばらになるのが特徴です。
FAGAの原因は、女性ホルモンの分泌が低下し、男性ホルモンが優位になるから。加齢が引き金になることが多いのですが、貧血や無理なダイエット、睡眠障害などが原因で、FAGAを発症する可能性もあります。
・分娩後脱毛症やけん引性脱毛症
女性の場合は、出産後の一時的なホルモン分泌の乱れによって髪が抜ける分娩後脱毛症や、きつく髪をひっぱる髪型が毛根に負担を与えて髪が抜ける牽引性脱毛症なども考えられるでしょう。
・円形脱毛症
また、男女を問わず発症しがちな脱毛症の一つが、円形脱毛症です。これは、10円玉程度の脱毛班がある日突然できるというもので、自分では気づかないケースが大半です。数ヵ月もすれば自然に治癒していきますが、重症化すると複数の脱毛斑が融合することがありますので、注意しておきましょう。円形脱毛症の原因は、自己免疫疾患にあるとされていて、引き金の一つはストレスにあると考えられています。
・ひこう性脱毛症
乾燥したフケが毛穴の周辺をふさぎ、ばい菌の繁殖などを招いた結果、毛根が炎症を起こして毛が抜けてしまう症状をひこう性脱毛症といいます。頭皮から過剰な皮脂が分泌された結果、抜け毛に至る脂漏性脱毛症と症状が似ていますが、前者は、頭皮の角質異常によるもの。カサブタ状態になるほど大量のフケが発生してしまう症状のことで、多少のフケ程度ではひこう性脱毛症と診断されません。粃糠性脱毛症・脂漏性脱毛症ともに、ホルモンバランスの変化などが原因で引き起こされるものとも考えられています。
ここで紹介したほとんどの症状で、その原因ははっきりしていませんが、血流の悪化や栄養不足、ホルモンバランスの変化など体内の問題に起因するものが多くなっています。こうした現象は、日々受け続けるストレスや食生活の乱れ、睡眠不足などが原因の一つ。髪の毛も、身体の一部です。日ごろの生活習慣が髪の成長を妨げている可能性があります。
さらに、肉類やスナック類、ナッツ類など、脂肪分を多く含む食べ物によって、皮脂を過剰に分泌してしまうことも。皮脂の過剰分泌が髪の毛に与える影響を確認するため、次の項目で、髪の毛の生える仕組みについて解説します。
髪の毛が生えるメカニズム
そもそも髪の毛は、ほとんど無防備ともいえる人間の頭蓋骨を守るためのもの。髪の内部には空気を含んでおり、外部から与えられる衝撃を吸収することができるのです。日ごろちょっとした動きで頭をぶつけることもあるかと思いますが、そうした衝撃をやわらげるクッションの役割を担っています。
また、太陽の直射日光(紫外線)や外気との温度差などからも頭を守ってもいます。日光に含まれる紫外線を直接浴びると、皮膚にはそれなりのダメージが残ります。皮膚の乾燥やシミ、そばかすが引き起こされること以外にも、場合によっては皮膚がんなどを発症することもありえます。
こうした問題を防ぐという意味でも、髪の毛はとても重要です。さらに、極端な寒暖差が体内に伝わると、人間の身体は体温を一定に保とうと自律神経を働かせ、エネルギーを消費します。これが、疲労につながったり、アレルギー症状となってあらわれたりする可能性もあり「気温差を防ぐ」という役割が非常に大切になるのです。
髪の毛がふさふさと生え、本来の役割を果たすためには、髪の毛が生えては抜ける周期(ヘアサイクル)が正常でなければなりません。髪の毛は、もともといつまでも伸び続けるものではなく、一定の期間を過ぎれば自然に抜けるもの。同じ毛穴から新しい髪の毛が生えてくるため、正常な状態であれば、髪の毛が薄くなることがないのです。
ヘアサイクルは、成長期・移行期・休止期の3つの期間に分けられます。成長期は、新たな髪の毛が生まれて、成長する時期のこと。約2~6年かけて髪の毛は成長します。一般的には、10~12万本ともいわれる髪の毛の約90%は成長期にあるとされていますが、この成長スピードが徐々に鈍り、成長が止まりつつある時期が、移行期です。
移行期は、約2週間。髪の毛全体の約1%が移行期にあたります。さらに、髪の毛の成長が完全に止まり、日常生活の中で自然に抜け落ちる時期が、休止期です。この時期、髪を洗ったりブラシでといたりといった日常的な行為で、髪の毛は抜けていきます。休止期にあたるのは通常、髪の総数の約10%で、1日あたり50~100本ほどが自然に抜け落ちていきます。
このヘアサイクルが正常に機能しなくなると、成長期が短く、休止期が長くなってしまいます。髪は、十分に成長しないまま抜け落ちてしまうため、生えている髪は短く細く、抜け落ちる髪のほうが多い状態に。これでは、髪全体がボリュームダウンしたり地肌が透けて見えたりするのも仕方ありません。
さらに、皮脂が過剰に分泌されてしまうと毛根が詰まり、炎症などを引き起こしかねません。これによって毛が細くなったり、抜けたりする可能性も高まるのです。では、ヘアサイクルを整え、皮脂が過剰に分泌されないようにするための対策は何でしょうか。次の項目で、薄毛になったときの対処法について確認していきましょう。
薄毛になったらどうする?
薄毛への対処法は、まず身体の内側から整え、ホルモンバランスを正常にすることです。さらに、紫外線対策など頭皮そのものを外的環境から守る必要もあります。薄毛が気になり始めたら、第一に日ごろの生活習慣の見直しから始めましょう。髪の毛の材料となるタンパク質やミネラル、ビタミンなどを豊富に含む食材はもちろん、栄養バランスのよい食事を心がけることが、ヘアサイクルの正常化にも役立ちます。髪をすこやかに育むためと考えて、適切な量の食事をとりつつ、バランスにも配慮していきましょう。
また、睡眠が不足しがちなら、「寝る時間を決める」「ゴールデンタイムの睡眠を確保する」といったルールを設けてみてはいかがでしょうか。仕事や家事で忙殺されていて生活リズムが狂いがちの人ほど、規則正しい生活を意識することが重要です。さらに、運動不足を解消すべく身体を動かしたり、ストレスをうまく解消したりすることも、血行改善や新陳代謝の促進につながるでしょう。
頭皮の血流改善を目的とした頭皮マッサージなども、薄毛対策に効果があると考えられています。血流がよくなると、髪に必要な栄養素が十分にいきわたり、髪の発育が促進されます。頭皮をやさしくもみこむマッサージを、シャンプー前後の習慣にしておくとよいでしょう。
こうした薄毛対策がなかなか功を奏さないという場合は、薬局やドラッグストアなどで手に入れられる育毛剤を使ってみるという方法があります。すぐに効果を実感できるわけではありませんので、3~6ヵ月ほど毎日使ってみるのがおすすめです。ただし、育毛剤の種類は多く、自分に合う商品を探し出すまでには、ある程度の時間がかかると考えておきましょう。
薄毛にはさまざまな種類があり原因もさまざま、自分にあった対処法を考えよう?
ここでは、薄毛の種類や原因、髪の仕組みなどを解説しつつ、薄毛へのさまざまな対処法を提案してきました。薄毛には、さまざまな種類があり、その原因も多岐にわたります。そのため、「自分の薄毛が何に起因するものなのか」を知り、適した対策をとることが重要です。食事の内容を見直したり、生活習慣を見直したり、育毛剤を使ったりと自分なりにできる対処法を試してみましょう。
ただし、その一方で薄毛成人男性の4人に1人が悩んでいるというAGAや、300~600万人もの女性が発症しているとされるFAGAの場合は、なるべく早期の受診が重要になります。しかし、「仕事に忙殺されて受診する時間がとれない」といった方もいるでしょう。
その場合におすすめしたいのが、アイメッドです。アイメッドは、オンラインでの受診を可能にする総合医療アプリのため、いつでもどこでも医師による適切な診断を受けることができ、治療薬の処方などにも時間がかかりません。
大切な髪の毛を守るためだからこそ、気楽に受診できる環境づくりが大切になります。生活習慣の改善などとともに、アイメッドを用いた受診に関しても、ぜひご検討ください。
監修者
河村優子(かわむら・ゆうこ)
アンチエイジングをコンセプトに体の中と外から痩身、美容皮膚科をはじめとする様々な治療に取り組む医師。海外の再生医療を積極的に取り入れて、肌質改善などの治療を行ってきたことから、対症療法にとどまらない先端の統合医療を提供している。
保有資格
- 日本抗加齢医学会専門医
- 日本麻酔科学会専門医
- 日本レーザー医学会認定医 ほか