薄毛治療に服用したい治療薬――価格や副作用などを徹底解説
2020/1/17
成人男性の4人に1人が薄毛症といわれており、進行性の薄毛を「AGA」と呼びます。遺伝性の疾患であり、症状が徐々に進行するのがAGAの特徴。何の手段もとらないままでは、症状の改善は見込めません。しかし、できるだけ早期にクリニックなどに通院し、治療薬を服用すれば、髪の生成効果や脱毛抑制効果を実感できるとされています。
ここでは、AGAの治療薬が気になる方、副作用などを心配している方に向けて、治療薬の種類や価格、予想される副作用について徹底解説しています。大切な髪を取り戻すためにも、ぜひ参考にしてください。
薄毛治療に用いられる薬の種類と特徴
国内でAGA治療薬が初めて承認されたのは、2005年のことです。それ以来、AGA治療薬の数は年々増加しています。これらの治療薬を服用後、6ヵ月もすれば自分の目で発毛・増毛効果を確認でき、1年もすれば他人の目からもはっきりとその効果が認識できるとされています。AGAの症状に悩む方にとっては、治療薬は一縷の望みにも思えることでしょう。
ここでは、AGA治療薬の概要と、治療薬の特徴・副作用などを詳しく解説していきます。
症状に応じた2タイプの治療薬
生活習慣や年齢など、さまざまな要因が重なって「毛が細くなる」「生えにくくなる」という症状がでてきますが、クリニックで処方されたり、通販や薬局などで市販されたりしているAGA治療薬には、こうした症状に合わせて2タイプが用意されています。
〈AGA治療薬の2タイプ〉
- 抜け毛の原因となる男性ホルモンを抑制し、薄毛の進行を止めるタイプ(飲み薬が基本)
- 頭皮の血流を促進するなど、発毛力を高めるタイプ(飲み薬/塗り薬)
薄毛の進行をくい止める治療薬
最初に、薄毛の進行をくい止めるタイプの治療薬4つを紹介します。
・ザガーロ(カプセル剤/飲み薬)
2015年に認可された最も新しいAGA治療薬が、ザガーロです。プロペシアと比べると汎用性が高いことが特徴。その一方で、副作用が起こる可能性が高くなっており、勃起不全・性欲減退・精液量減少といった症状が17.1%で報告されています。副作用が心配な方は、同タイプの治療薬で副作用が少ないものから試し、さほど効果がなかったと感じたときにザガーロを検討するのがよいでしょう。
・アボルブ(カプセル剤/カプセル)
アボルブの主成分は「デュタステリド」で、ザガーロと似ています。添加物などもほぼ同じであるため、専門家の中でもアボルブとザガーロをほぼ同じ薬剤だと判断する向きがあります。期待できる効果は、脱毛酵素を抑制し、脱毛を防ぐということです。アボルブは、もともと前立腺肥大症の治療薬として開発されました。しかし、その後男性ホルモンの分泌量がAGAの各症状に関連していると判明し、AGA治療薬として用いられるようになりました。
・プロペシア(錠剤/飲み薬)
AGAの治療薬として国内で初めて認可されたのが、プロペシアです。販売元(MSD株式会社)の臨床試験によると、1mgのプロペシアを1年間服用した際の薄毛改善効果は約58%、2年で約68%、3年で約78%となっており、高い改善効果を期待できます。その一方で、性欲減退・肝機能障害などの副作用が出る可能性は0.5%と低いのが特徴といえるでしょう。
プロペシアは、男性ホルモンの1種であるDHT(ジヒドロテストステロン)を抑制し、AGAの進行を抑えるもので、一般的には半年から1年ほどで効果を実感できるとされています。成人男性であれば、ほぼすべての人が適応します。
・プロペシアのジェネリック(錠剤/飲み薬)
プロペシアは、MSD株式会社から販売されたAGA治療薬ですが、主成分を同じくするジェネリックが他の製薬会社から販売されています。効能・副作用などは、プロペシアと変わりません。2019年現在、プロペシアのジェネリックは8つの製薬会社で販売されており、安全性なども同様ですが、製造法や添加物などは各社で異なります。
頭皮の血流を促進するなど、発毛力を高めるタイプ
続いて、発毛力を高めるタイプの治療薬3つを紹介します。
・ロゲイン(塗り薬/外用薬)
ロゲインは、発毛を促すミノキシジルを主成分とする塗り薬で、外用薬にすることで副作用のリスクを抑えることに成功したAGA治療薬です。予想される副作用はかゆみ、発しん、じんましん、皮膚炎などで、8%の発現率です。あとで解説するミノタブなどの内服薬と比べると、効果は落ちるものの副作用のリスクを軽減できるという点にメリットがあります。
日本では、大正製薬の「リアップ」シリーズ、アンファーの「スカルプDメディカルメノキ5」、ロート製薬の「リグロEX5」などが認可されており、同様の効能が認められています。
・ミノタブ(錠剤/飲み薬)
毛母細胞の活性化と血行促進に効果がある「ミノキシジル」を主成分とする内服薬が、ミノキシジルタブレット。ミノタブは、その略称です。高い発毛効果が認められていますが、AGA治療薬としての認可は受けていません。なぜなら、ミノタブは降圧薬として開発されたものだからです。新機能や血圧に悪影響を及ぼす恐れがあり、服用者の3~8%にかゆみや脱毛、発熱、吐き気、動悸、頭痛などの副作用が報告されています。医師の判断があればAGAの症状に処方することができます。
・アロビックス(塗り薬/外用薬)
アロビックスは、フロジン液という先発薬のジェネリック医薬品。血行を改善し、毛の成長を促すカルプロニウム塩化物を含む塗り薬です。AGAの治療薬としてはもちろん、円形脱毛症や女性特有の脱毛症などにも使用でき、保険が適用されるのが大きなメリットといえるでしょう。発汗や悪寒、刺激症状、かゆみ、接触皮膚炎などの副作用が出る可能性がありますが、発現頻度は不明です。
AGA治療薬を選ぶ際のポイント
AGA治療薬には、さまざまな種類がありますが、治療薬を選ぶ際は、次の3つのポイントが重要です。
・自分が改善したい症状に効くか
AGA治療薬には2つのタイプがあり、抜け毛を防ぐか、発毛力を高めるかで分かれています。これ以上薄毛を進行させたくないのか、毛を生やしたいのか、自分の目的に合わせて治療薬を選ぶようにしましょう。もちろん、2種類の治療薬を併用することも可能です。
・自分にとってリスクの少ない治療薬を選ぶ
薬には副作用が出る可能性が否定できません。また、薬ごとに副作用が出やすい体質・持病なども判明しています。低血圧、心機能の異常などの症状がある方は、発毛力を高めるタイプの治療薬を避けておきましょう。また、肝臓の疾患がある方、肝機能値が正常でない方は、治療薬を服用する際には十分に注意してください。
・ジェネリック医薬品も検討する
AGA治療薬は、長期的に服用・塗布するものです。薬価が高いと、治療が長続きしない可能性もあります。薬代をできるだけ抑えたい場合は、ジェネリック医薬品を選ぶようにしましょう。
AGA治療薬を用いる際の注意点
AGA治療薬を用いる際に覚えておかなければならないのは、服用をやめた段階で薬の効果がなくなるということです。効果を望むなら飲み続ける必要がありますが、薄毛やハゲが気にならなくなった段階で治療を終えてもかまいません。
また、AGA治療薬は未成年には処方されません。さらに、アロビックスなどを除いて、ほとんどの治療薬は女性に用いることができず、円形脱毛症などにも効果が期待できません。服用中に献血することもできませんので、注意しておきましょう。購入する際は、医師に処方してもらうか、通販・ドラッグストアなどを利用する必要があります。
女性用の薄毛治療薬 パントガール
女性でも薄毛の悩みを抱えている人は少なくありません。しかし、一般的なAGA治療薬は、胎内の男児の生殖器に異常を発生させる恐れがあるとして、女性がさわることすら禁忌になっています。そこで、女性の薄毛治療薬として開発されたのがパントガールです。
世界初の女性用薄毛治療薬パントガールは、びまん性脱毛症や分娩後脱毛症、抜け毛の増加などに効果があるとされるヨーロッパ発の育毛剤です。身体に強く作用するような成分が含まれていないのが特徴で、副作用の心配はほとんどないといわれています。
髪の生育に必要な材料を補給しつつ、健康な髪づくりに欠かせない環境づくりを行う働きがあり、効果を実感できるまでには半年から1年ほどかかるとされています。
AGA治療薬に保険は適用される?
AGA治療薬は、美容診療の扱いになります。保険は適用されず、全額が自己負担の自由診療です。一般的な治療費より高額になるのは、このためです。AGA治療にかかる費用は、クリニックや病院が決めるため、薬価にも幅があります。基本的に、医療費控除なども適用外です。しかし、精神的な疾患もしくは全身疾患などが薄毛の原因である場合は、例外的に医療費控除の対象と認められることもあります。
今後、AGA治療を受けようと考えている方は、治療費に差があることを念頭におき、病院やクリニックを選ぶようにしましょう。病院によっては、治療費の分割やクレジットカード払いに対応しているところもあります。無理のない範囲の費用、支払い方法を選択し、長期的な治療に備えましょう。
AGA治療薬は適切な指示のもと服用しよう
「AGA治療薬を安く手に入れるために」と個人輸入を行う方も少なくありませんが、AGA治療薬にはそれぞれに副作用のリスクがあり、適切な指示を受けて服用するのが望ましいのが実際です。とはいえ、なかなか通院の時間がとれないという方も多いでしょう。そんな方におすすめしたいのが、総合医療アプリ・アイメッドです。
アプリを介して医師の診断を仰ぐことができ、いつでもどこでも利用できます。治療薬の処方なども簡単で、時間がかかりません。気軽にAGA治療を受けることができる総合医療アプリ・アイメッド、薄毛が気になる方はぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。
監修者
河村優子(かわむら・ゆうこ)
アンチエイジングをコンセプトに体の中と外から痩身、美容皮膚科をはじめとする様々な治療に取り組む医師。海外の再生医療を積極的に取り入れて、肌質改善などの治療を行ってきたことから、対症療法にとどまらない先端の統合医療を提供している。
保有資格
- 日本抗加齢医学会専門医
- 日本麻酔科学会専門医
- 日本レーザー医学会認定医 ほか