毛根鞘とは?その役割や薄毛・抜け毛との関係性を解説
2020/7/6
毛根鞘(もうこんしょう)は、髪の健康に深く関わっているものです。毛根鞘には2つあり、それぞれに異なる役割を果たしています。また、抜け毛とも関係しているもののため、事前に確認しておくことが大切です。ここでは、毛根鞘の役割や種類、抜け毛との関係について詳しくご紹介します。
髪を支える?毛根鞘とは
毛根鞘は、毛根を取り囲むように存在する組織です。毛根は、毛包という袋に包まれており、その中に毛乳頭があります。毛乳頭は毛母細胞に栄養を送ることで間接的に髪を作る役割を果たしています。
毛根鞘の種類と役割
毛根鞘には、「内毛根鞘」「外毛根鞘」の2つがあります。
・内毛根鞘
内毛根鞘は、毛根の内部から見たとき、内側にある組織です。外側から順に、ヘンレー層、ハックスレー層と内毛根鞘小皮から成り立っています。最も内側にある内毛根鞘小皮は、髪の表面をコーティングしているキューティクルに接触しています。
・外毛根鞘
外毛根鞘は、内毛根鞘の外側を囲っています。また、髪を色づけるメラニン色素を生成するメラノサイトが含まれており、髪にとって重要な組織です。
抜け毛と毛根鞘の関係
抜け毛には、毛根鞘がついている場合があります。毛根鞘がついている抜け毛は、薄毛の前兆だと思い、不安に感じている方は多いのではないでしょうか。抜け毛や薄毛と毛根鞘の関係について詳しく見ていきましょう。
抜け毛と毛根鞘の関係
抜け毛と毛根鞘の関係は、次の通りです。
・抜けた毛に毛根鞘がついていても心配はない
自然に抜けた毛の先に、半透明のゼリー状のものがついている場合があります。これが毛根鞘です。ふっくらとした膨らみがある毛根鞘は、髪をしっかり守っている証のため心配はいりません。無理なブラッシングや頭をかくなどの行為で抜けただけと考えられます。
このような毛根鞘が何度も抜ける場合は、頭皮ケアを見直しましょう。無理なブラッシングや、間違った洗髪で髪が引っ張られて、成長期の髪が抜けている可能性があります。髪は、成長期を過ぎると退行期に移行します。
退行期の髪についている毛根鞘は、ふっくらとしていません。このような毛が抜けても心配はありませんが、たくさん見られた場合は、退行期の次に訪れる休止期が長くなる可能性があります。休止期を経て、髪は自然に抜け再び生えてきます。そのため、休止期が長くなれば、新たな髪が生えるまでに時間がかかり、部分的に薄毛になる可能性があるでしょう。
また、毎日のように毛根鞘がついている髪が抜ける場合は、頭皮に何らかのトラブルが起きているのかもしれません。頭皮の炎症や乾燥のほか、AGAによって抜け毛が増えている恐れもあります。
AGAでは、髪の成長期が短縮して、十分に育っていない髪が抜けてしまいます。抜け毛が気になる方は、早めにクリニックを受診しましょう。
・毛根鞘に血がつく原因
毛根鞘に血液がついている場合、毛穴や毛根部分などに傷ができている可能性があります。すぐに問題が起こるわけではありませんが、傷から雑菌が侵入することで炎症が起こる恐れがあります。気になる場合は、クリニックを受診しましょう。
また、傷ができた理由を突き止めることは困難ですが、髪を無理に引き抜くと傷つく恐れがあります。髪を洗う前にクシでとかさないと、うっかり引っ張ってしまうこともあるかもしれません。また、寝具との摩擦で髪が引っ張られている可能性もあります。
・毛根鞘と皮脂の違い
毛根鞘と皮脂は似ていますが、役割が異なります。皮脂は、頭皮を乾燥から守ったり、水分の蒸発を防いだりしています。毛根鞘は髪を守り、皮脂は頭皮を守っているのです。また、毛根鞘と皮脂は見た目も似ています。
毛根鞘は、ふっくらとした半透明のゼリー状の物質で、皮脂は脂っぽい不規則な形をした塊が特徴です。
薄毛と毛根鞘の関係
それでは、薄毛と毛根鞘の関係を詳しく見ていきましょう。
・毛根鞘がついていない抜け毛は危険?
毛根鞘がついていない髪は、十分に成長していません。AGAによって成長期が短縮され、十分に育っていない髪が抜けた可能性があります。1本や2本見つけただけでは、特に心配はいりません。しかし、明らかに抜け毛が増えたうえに毛根鞘がついていない毛ばかりが抜ける場合はAGAの恐れがあります。
AGAでは、前髪の生え際が後退したり頭頂部が薄くなったりします。以前よりも、おでこが広くなったり、頭頂部の頭皮が見えるようになったりした場合は、早めにクリニックを受診しましょう。
・毛根鞘から抜けた毛は生えてこない?
「毛根鞘から抜けた毛は生えてこない」と思っている方は多いのではないでしょうか。毛根鞘がついていても、問題なく生えてくるので安心してください。毛根鞘は、あくまでも髪を保護するもので、発毛組織そのものではありません。
そのため、髪から失われても問題なく新しい髪が生えてくるのです。また、毛根鞘も再び作られるため、髪を保護できなくなる心配もありません。
毛根鞘を食べる?抜毛症(トリコロマチア)とは
抜毛症(トリコロマチア)とは、髪をくり返し抜くことで、第三者から見て明らかに髪が失われている状態になる慢性的な病気です。身体の感覚や衝動、思考を制御するために行うものと、無意識に行うものがあります。抜毛症の人は、毛根鞘を食べてしまう食毛症を併発していることがありますが、食べる量や頻度などは人によって異なります。
それでは、毛根鞘を食べる危険性や抜毛症の原因、予防法などについて詳しく見ていきましょう。
・毛根鞘を食べると起こり得るトラブル
食毛症を併発していて毛根鞘を食べてしまったとしても、健康に大きな問題が起こるとは考えにくいでしょう。しかし、不潔な手で毛根鞘に触れたり、頭皮が不潔な状態であったりすることで、お腹を壊す可能性は十分に考えられます。頭皮には、細菌や真菌が生息しているため、皮脂が過剰に分泌されると異常に増えて炎症を引き起こす場合があります。
そのような不潔な頭皮から抜いた髪の毛根鞘を食べると、健康に何らかの問題が起こるかもしれません。
・毛根鞘を食べてしまう抜毛症の原因
抜毛症の原因は、はっきりとはわかっていません。あらゆる要因が考えられますが、主にストレスが深く関連しているといわれています。また、髪を抜いて食べることが不合理であることを認識しているのに、自分を制御できないケースも少なくありません。さらに、抜毛症の約4割が食毛症を発症しているともいわれています。
髪を抜く行為にいたる前に緊張を感じ、毛を抜いたり食べたりすることで緊張から解放され、満足感と解放感を得ていることも多い傾向です。
この満足感と解放感を得ることがクセになり、髪を抜くのをやめられなくなっている可能性もあります。
・抜毛症の対策方法
抜毛症の予防法はありませんが、治療法はあります。やめたくてもやめられない抜毛症には、神経伝達物質のセロトニンが関連しているといわれています。そのため、セロトニンを調節する薬や抗不安薬などを使用する場合もあるのです。
また、抜毛症の原因は日常に隠れている可能性があります。ストレスや葛藤、精神的・身体的な余裕がない生活は、抜毛症のリスクを高めかねません。そのため、環境を改善したり行動療法を受けたりすることで、症状が現れにくくなる可能性があるでしょう。
ただし、過去のトラウマが関与していることもあるなど、抜毛症の原因は人それぞれで非常に複雑です。「気がつくと髪を抜いている」「髪を食べている」といった場合には、早めに医師に相談することが大切です。
毛根鞘のトラブルは早めに医師に相談しよう!
毛根鞘とは毛根を取り囲むように存在する組織で、髪の健康に深くかかわりがあります。毛根鞘がついた髪がたくさん抜けた場合は、早めに医師に相談しましょう。AGAによって、成長しきっていない髪が抜けている可能性があります。
AGAは、放置すると進行するため、いかに早く治療を始めるかが重要です。最初は、「少しおでこが広くなった」と感じる程度ですが、しばらくすると明らかに薄毛だと認識できるようになります。そうなってからでは、治療期間中でも薄毛が気になって人とのコミュニケーションに支障をきたしたり、外を出歩けなくなったりする恐れがあります。ストレスも髪と頭皮に負担をかけるため、精神的なダメージが大きくなる前に治療を始めましょう。
しかし、忙しくてなかなかクリニックに行くことができないという方も多いでしょう。そうした場合は、アイメッドの遠隔診療を試してみてください。遠隔診療では、スマホやタブレット越しに診察を受けられるため、自宅や勤務先など場所を問いません。また、薬の処方箋や薬は自宅へ郵送されます。決済もクレジットカード払いが可能なため、現金が手元になくても問題なく受診可能です。毛根鞘のトラブルが気になったときは、アイメッドの遠隔診療で早めに医師の診察を受けましょう。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
監修者
河村優子(かわむら・ゆうこ)
アンチエイジングをコンセプトに体の中と外から痩身、美容皮膚科をはじめとする様々な治療に取り組む医師。海外の再生医療を積極的に取り入れて、肌質改善などの治療を行ってきたことから、対症療法にとどまらない先端の統合医療を提供している。
保有資格
- 日本抗加齢医学会専門医
- 日本麻酔科学会専門医
- 日本レーザー医学会認定医 ほか